アラビア語の双数・双子のエジプト神・ベリーダンスデュオ

オリエンタルダンスは元々、あまり群舞向けの踊りではないと言われています。
自由な感性を尊重するところ、音と一体になる即興こそが醍醐味だなぁと感じるので、私もそう思うことが多いです。

一方、私が幼い頃から踊ってきた韓国伝統舞踊は”群舞美”も魅力のひとつなので、視線や手の位置などが数字でビシッと決められていて、舞台上でアンサンブルがぴったりと合う瞬間が、踊る楽しみでした。
▽韓国舞踊(イメージ)

(ですが、熟練者の独舞の渋み、深みはすごいですよ!そこが韓国舞踊の恨(ハン)の魅力。)

だから、ベリーダンスを始めたときに、群舞なのに手の表情や目線がある程度自由だったりするのは、とっても斬新でした。それだけでかなり自由な気持ちになれたし、個性を活かしながら、一人一人が自分で決めることができながら、だけど皆と共に在るという、なんなら理想的な団体のありかたを見た気がしたのでした。
▽「飛天」

とは言え、これだけ世界中でベリーダンスが流行った結果、最近は完璧なシンクロや素晴らしいアンサンブルを誇る群舞も見かけますね。ですが、私はそれは中東ではなく東アジア的な感じがします。アジアの舞踊にはアジアの美があるけれど、オリエンタルダンスで群舞をするなら、個性やあいまいを許すような少しの隙がほしいなーと思うのです。(フォークロアはまた別。)

だから基本的にはベリーダンスはソロが一番見ごたえあると思ってるんですが…… デュオだけは!

惹かれてやまないです。
観るのも創るのも。

アラビア語の双数

話がダンスから逸れますが、アラビア語を勉強しはじめたとき、これまでの語学に関する概念がガランガランと音を立てて崩れていくような思いをたくさん味わったのですが、その中のひとつ、双数を知ったときは大変面白かったです。

双数とは数が2つの場合の単語の変化形のこと。

例えば英語には単数形と複数形がありますよね。一人ならPerson、複数の人を指すときはPeople。
スペイン語には女性名詞と男性名詞があります。太陽はSolで男性名詞に分類されて、月はLunaで女性名詞です。(どちらかによって定冠詞などのチョイスが変わってくる。)

で、アラビア語には単数、複数、女性名詞、男性名詞はもちろん、それに加えて双数という変化形があるのです。
例えばアラビア語で月はカマル(=アマル)ですが、双数になるときは語尾に-aaniがつく形に変化します。あのベリーダンス教室の名前「アル・カマラーニ」は「The two moon(A pair of moon)」ということですね。

この双数という存在、サンスクリット語(古代インドの言葉)や古代ギリシア語にはあったそうですが、現代でも使われているのはアラビア語くらいのようです。(エスキモー語にあるとか。)

言葉には文化が宿ると確信している私としては、この双数という概念の特殊性は見逃せなくて。
2つの、ペアーの、という単位にはアラブ文化の「何か」があると思っています。

双子のエジプト神

ちなみにエジプト神話のメンツには双子の神も登場します。
ルーブル美術館のホームページの解説にも書かれているのですが↓

エジプト最古の碑文であるウナス王のピラミッド・テキストにより、オシリス神は、「太陽の都市」ヘリオポリスの神殿の神学者が入念に作り上げた神話の中心となりました。紀元前2350年頃のことです。ヘリオポリスの太陽神ラーは、双子のシューとテフヌートを授かりました。続いて、大気の神シューと湿気と熱の女神テフヌートとの間にできた双子、大地の神ゲブと天空の女神ヌトは絡み合って産まれてきました。こうして天地が創造されました。
ルーブル美術館ホームページ解説

壮大なエジプト神の物語のはじまりに、すでに2組の双子が登場しているんですよね。
エジプト神話ではほかにも、女神とその双子の妹など、双子がちょこちょこ登場するように思います。(羅列できるほどは詳しくないですが。)

そんなわけで、オリエンタルダンスの群舞はなんだか違う気がするけど、オリエンタルダンスのデュオはとってもいい感じがする。というのは、意外にダンス以外のところで、私の中で腹落ちしています。

似て非なる双子

つまるところ、「似て非なる他者」というテーマは私にとって何度も掘り下げたいテーマのひとつのようです。

そういえば大学の卒論は「似て非なる日韓文化」について書いたっけ。
似ていること、違うこと。
日本と韓国/朝鮮は、肌の色も髪の色も近いからこそ、相手に同じであることを求めてしまう。同じを求めてしまうからこそ、違いを認められない。というところがあると思います。

一見、似ていて、でもよく見ると全く違うものを持っている。

それってとても素敵なので、お互いに認められたらいいのに。と私は思うんですね。

そういうところを目指して創作したのがyumiちゃんとのデュオでした。

▽火と水のインスピレーションで。

次に、一見全然違うように見えるけど、根を探ってみれば共通するところがあるんじゃない?というコンセプトで取り組んだのがStarshaさんとのデュオ。

▽バイオリンが美しい曲「yearning」

そして創作デュオ3作目。はかなげな色気が素敵なRinさんと。「エロスをテーマにデュオするならこの人でしょう」という他薦により(笑)創作しています。
すこしアンビエントな感じもあるフュージョン。いい感じになってきました。

“rinmyoon”デュオ、12/14 Rebirthショーにて踊ります☆

そんなrinmyoonデュオは錦糸町シルクロードカフェで開催するTilta Oriental Dance Companyの再興ショーにてお披露目します。

詳細はこちらからどうぞ⇒2019.12.14.土 Tilta Show「Rebirth」@錦糸町Silkroad cafe

切り絵師 杵淵 三朗さんの作品ともコラボする幻想的な公演になります。

ご都合つくようでしたら、ぜひいらしてください^^