Tilta公演「祝祭」てんやわんやのウラ話と感想

なにげなく振り付けのイメージトレーニングをしている途中で、あ、もう公演は終わったんだった、と寂しい気分になるここ数日です。
3月17日(日)にTilta Oriental Dance Company 5回目の大きな発表会公演「祝祭」が終演しました。

私は、オープニング創作舞「闇の中の虹」、砂漠の民ベドウィンの娘たち踊り「ハッガーラ」、タラブオリエンタル「Wahashini Baladi」、エンディング創作舞「飛天」の計4曲に出演しました。
ひと言ではとても総括できなくて、ちょっと長くなりますが公演までのことと創作舞のウラ話をちょっと書かせてください。

悪夢にうなされたオーバーワークの日々

約1ヶ月のエジプト留学から帰国したのが11月末、公演に向けての準備が本格化するなかで、12月から新しい仕事を始めました。ある企業に常駐して行う同時通訳の仕事です。会社員を辞めてしばらくフリーランスをしてきた私にとって、久しぶりの会社通勤。朝から夕方まで週5日をフルタイムで働いています。
そんななか、個人で請ける単発の通訳・翻訳の仕事も継続中です。また、一部ですがライターの仕事も続けていますし、韓国語を教える仕事はなぜか生徒さんが増え基調です。
数えてみたら1月の1ヶ月だけでも、フルタイムの同時通訳を含めて5種類の仕事をしていました。
はい、働きすぎですよね。本当に。

特に、いまやっている同時通訳の仕事は普通の同時通訳以上に負荷がかかる特殊なもので、能が疲れているのか、悪夢にうなされる日も多かったです。騒音のなかでイライラしながら通訳する夢とか、日本語と韓国語の混ざり合った多重音声にうなされて目が覚めるとか、空から大きなピストンが降ってきて周りの人がどんどん押しつぶされる夢とか(これは3月だからかも)、密かに追い込まれていたと思います。

そんなストレス高めの日常でしたが、公演に出られて本当によかった!
今回出演した4曲とも思い入れが強いのですが、オープニングとエンディングの演目ふたつは格別でした。

やけっぱちもいい味になった?!「闇の中の虹」

会社員を辞めてしばらくフリーランスをしてきた私にとって、毎日定時に出勤して定時に帰ること自体が久しぶりの日々でした。会社規定の「華美でない服装ならOK」というのを、どういう服装ならいいんだろうと毎朝考えながら、仕事のパフォーマンス以外のところでマイナス評価をされたくなくて、紺やグレーや黒の目立たない色、華やかではないデザインを選んで着ていく。

いまだから気が付くんですが、やっぱり会社には、有言・無言の「目立たないようにしなさい」「謙虚でいなさい」「社会とは忍耐が必要なもの」「言いたいことを表現しないほうが得」という「常識」が厳然としてあって、私はそこからはみ出そうになって指摘されて、でもまたたく間にその「常識」に合わせていこうとしていました。

そんなときに、やはり有言・無言の厳しさと愛で自分の軌道に戻させてくれたのはSali師匠であり、この作品「闇の中の虹」でした。
闇から始まって虹が飛び出す作品。草原を意味する「stepp」という曲に乗せて終始走り切るような振り付けと複雑なフォーメーションで、1回踊るとハァハァと息が上がります。
振り付けが完成して踊り込むにつれて、次第に「誰かと同じ色で生きなくていい、カラフルに生きろ」という根性が、自分の中で改めて芽生えました。

忙しすぎる日々にふと「なんで踊るんだったっけ?」と思うことは、私もあります。でもこの作品は、ひとつのアンサー。だから踊るんだ、という気持ちになれる作品。
しかも、自分の中に留めずに、世の中に向かって吠えるぞ!そういう気持ちで踊れました。

で、実はまさかのウラ話はここからで……なんと、なんと、オリジナルで注文した衣装が届かなかったんです!
本番の数か月前に海外に発注した衣装が届かない。追跡してみたところ、ヨーロッパでまだ止まっている。というのが本番一週間前の状況でした。

私たちは選択を迫られました。
過去にTiltaで使った白のBellaの群舞衣装で踊るか、自分たちで作るかの2択です。(ここでも作る案が浮上するのがTiltaらしい……。)
私はみんなが同じモノトーンを着てこの作品を踊る気にはどうしてもなれなくて、作る案を推しました。(作るの苦手ですが!)
みんなもきっと同じ気持ちだったんですよね。それで、結局作ることになりました。

急いで布を買いに行って、すばらしいデザインを作り上げてくれたSali先生、kiranahさん、本当にありがとうございました。
それから、同じ木曜クラスのStarshaさん、Yumiちゃんには感謝が止まらない!
縫物が苦手な私とDarcheeを見かねて、自分が出る演目でもないのに、衣装作りの手伝いを買って出てくれて、本番前日、私の家にみんなで集まってみんなで3時間で作り上げました。本当は前日も練習したりコンディション整えたいところだったろうに、本当にありがとう……。
だから、衣装を着てみんなで踊ったのは当日のみ!

当日も縫い直しが必要な部分などを私の分はStarshaさん、Darcheeの分はYumiちゃんが専属のお針子さんのようにチクチク縫ってくれました。感涙、感涙。
本当にふたりがいなかったら、衣装のことで疲弊して、笑顔で当日を迎えられなかったかもしれない。
ベリーダンス

そんなギリギリの状況でも踏ん張ったのが幸いしたのか、同じTiltaの仲間たちからはこの演目について「いつもとは違うみんなの面が見られた」「そんな状況でもやってやるぞって感じが目力に出てた」と好評でした。
お客さんたちからは「予想のできない展開が面白かった」「迫力がすごくてびっくりしたけど、一番好きな作品だった!」などの感想をもらいました。
ゲスト出演くださったBarbee Makoさんからも「いい衣装」とお褒めいただけて、とても嬉しかったです!よかった!

で、例の海外発注した衣装ですが、なんと本番当日の家を出た瞬間に、日本の税関に届いた旨の通知を受けました。
なんというオチ……。

許されるなら、届いた衣装を着て(笑)どこかで再演できたら嬉しいです。

無我の境地「飛天」

この演目はかれこれ3回目の舞台。2017年のHadia大先生を迎えての「夢のあとさき」公演で初演したSali師匠の創作群舞で、その後ちょうど一年前となる2018年3月17日のDr.Gamal Seifを迎えた公演で再演し、2019年3月17日の再再演となりました。
アラブ楽器バンド「アラディーン」さんの創作曲「飛天」に合わせたベールダンスです。

公演までずっと(実は今も)オーバーワークで気が休まらない状況でしたが、「飛天」の練習が本格化した本番一週間前、ピンクのベールで自由に舞う楽しく美しい夢を見ました。自分が舞っている感覚がありながら、ひらひらなびくベールと自分の後ろ姿を俯瞰して見ている視覚がある夢でした。

この演目は激しい「闇の中の虹」とは対照的な作品だったので、どこか牧歌的な感じさえする曲「飛天」の雰囲気にちゃんとチューニングできるか不安でした。
でも、曲がかかった途端、やわらかく温かい春の日差しに包まれたようで、苦労なく作品の世界に入っていけました。

リハーサルや本番でも同じで、曲の力、作品の力をこんなに感じたのは初めて!
私は普段「伝えたい」気持ちが強いのですが、「飛天」の曲で舞台に乗るとそういうものが消えるんです。「何のために」とかいう考えも超えて、ただただあったかくて、幸せで、不安がない世界に行けます。細かいベールワークの振り付けに対する不安も消えて、もし何かあっても大丈夫、リカバリーできる、そんな気持ちになれる演目です。こういう状態を無我の境地と言うんでしょうか。極楽浄土ってもしかしたらこういう場所なのでしょうか。

舞台の上でみんなと何度も目を合う演目で、Tiltaのみんなと一緒だから行ける世界だなぁ、と思う作品です。

お客さんの笑顔が本物だった

ダンサーの生き方がダイレクトに伝わるのがベリーダンスだと思っています。だから、私たちが舞台上で感じていることはお客さんたちにもしっかり伝わるみたい。

約300席の豊洲シビックセンターをほぼ満席(数席残ったようでしたが、肉眼では満席でした!)にしてくれたお客様、ありがとうございました!
終演後のみんなの顔が、本当にいい笑顔だったので嬉しかったです。

いろんな感想をもらいました。

“いろんな衣装が出てきたので楽しかった!お腹の出る衣装ばかりだと思っていたので意外だったし、お腹の出ない衣装もかわいかったです。”(はじめてベリーダンスを観た友人)

“Myoonちゃんは幸せエナジーがあふれてて、私もお裾分けされた感じがするー”(ダンス仲間)

“仕事だけしていてはだめだな、心を育まなきゃと思った。”(通訳仲間)

目が楽しいだけでなく、心に届いたのがとても嬉しいです。

Sali先生の作品の力に触発されて、またみんな踊りに向かっていく

こうして本番を終えて思うのは、個別の創作舞も全体の演出もTiltaという場も含めて、やっぱりSali先生の創造物はすごいということ。
私、先生の踊りに導かれて生きてます♡

公演まで、もちろん私だけ大変だったわけではなくて、Tiltaのみんな、本当にそれぞれの大変さを抱えるなかで、こうやって一緒に舞台を踏めました。

だから「Myoonちゃんよかったよ~。他のみんなも本当によかった!」私からチケットを買ってくれた友人の、この感想が私はとっても嬉しいです。
だって、私が誇らしく思うのも変ですが、自慢のみんななんですよ^^

Photo by Apache

そして本番直前に既に「今度ハフラ(ミニダンスパーティー)でやりたい曲があるんだー」と言っていたクラスメイトの気持ちもわかる。
私も密かに温めている、やりたいことがあるんです。

こんなに大変だったのに、Sali師匠の作品に触発されて、こうしてまたみんな、踊りに向かっていくんだなぁ。

先生、先輩方、クラスメイトや他クラスのみんな、ゲストの皆様、アルミスタルミスの皆様、アレズの皆様、観客の皆様、本当にありがとうございました!

これからもよろしくお願いいたします♡

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